気持ちを切り替えてぐっと背伸びしてから秋葉を抱き寄せる。

「秋葉」

「あっ、兄さん・・・」

とその時他ならぬ秋葉が志貴を押し留めた。

「?秋葉、どうした」

「そ、その・・実は兄さんに・・・お、お願いが・・・」

「お願い?可能な限り聞くけど・・・なんだ?」

「は、はい・・・実は・・・私とさつきさん、そしてレンを一度に・・・してほしいんです・・・」

「一度に?」

秋葉の思わぬお願いに目を丸くする志貴。

「はい・・・先程も言いましたが私達もう、限界で・・・これ以上焦らされたら本当に狂ってしまいそうで・・・」

「う、うん・・・だからね志貴君・・・私達の事も一緒に・・・抱いてほしいの・・・」

「・・・マスター・・・」

普段さほど・・・いや、滅多に口を開くことのないレンですら懇願するように志貴をただ見つめてくる。

「・・・」

そのお願いに言葉を詰まらせる志貴。

出来れば妻達を道具の様に抱きたくはない、それもまた間違いようの無い志貴本人の意思だが、秋葉達の目は本気だ。

それを考えると自分の心配りが冗談抜きで裏目に出てしまった事を意味していた。

謝罪は先程した、ならば成すべき事はただ一つ。

言葉よりも万の意味を持つ行動で示した。

「ああっ!」

「ふぁ!」

「んっ!」

秋葉、さつき、レンを同時に押し倒し、襦袢をはぎ取る。

見れば三人とも前戯は不要なほど濡れそぼっている。

「・・・じゃ、始めるか」

あえてそっけなく始まりを告げると、志貴は秋葉の両脚を広げ自分の身体を滑り込ませる。

そして秋葉の秘所に自分の肉棒をあてがう。

「!!」

その感触から秋葉の身体が目に見えて強張った。

その反応にも慣れたのか、志貴は慌てる事無く、秋葉の身体中をくまなく愛撫し緊張を解していく。

「っ!・・あっ・・・ふぁ・・・」

当然だが、初心者の秋葉はうっとりと眼を閉じてその愛撫を素直に受け入れ、身体から力が抜け落ち解れていく。

そこを見逃す筈もなく、志貴は一気に挿入、秋葉の処女膜を突き破り根元まで入った。

「!!」

大きく目を見開き声にならない悲鳴を上げる秋葉だが、しばらく動かずにいると秋葉も落ち着きを取り戻す。

「っぅぅ・・・に、兄さん・・・いきなりなんて・・・」

「前もって言ったらまた固くするだろう?」

「そ、それは・・・そうですが・・・」

「それよりももう痛くないか?秋葉」

「は、はい・・・思っていたよりも」

「そうか・・・よかった」

そう言うと、志貴はゆっくりと破瓜を終えたばかりの秋葉を気遣うように・・・いや、実際志貴は秋葉を気遣っているのだが・・・スローペースで前後に動き回転するように腰を動かす。

「んっ、んんっ・・・兄さん・・・切ないです。気持ちいいのに・・・切ないです・・・」

秋葉の声に艶が出るのを確認しても志貴の動きは変わらない。

「んんんっ・・・兄さん・・・兄さぁん・・・」

秋葉としてはもっと激しくしてほしいのだろうが、こういった事には奥ゆかしい秋葉が自分から口にできる筈がない。

出来ないのでせめて眼でもっとしてほしい事を訴えるが、志貴は見て見ぬふりを続けるだけだ。

志貴としては自分にとっても妻となった琥珀達にしても一生の思い出になるであろう初夜は妻主体にする事は決めてはいるが、こういったおねだりをさせる事を誘導する位の愉しみはあっても良いと思っていた。

そうこうしている内に

「くぅん・・・だ、駄目・・・ま、まだ・・・兄さんが満足していないのにぃ・・・!!」

そう言うや全身を硬直させ、仰け反らせる。

「んっ!んんんんんんんん!!」

二回大きく痙攣するや秋葉の膣内が志貴を締め付け、内部にたまっていた愛液が志貴を濡らす。

「ぁ・・・ぁぁぁああ・・・」

絶頂の余韻に浸りながらも秋葉は恥じる様に志貴から眼を逸らす。

志貴を満足もさせず自分一人だけが絶頂に至ってしまった事を恥じているようだった。

だが、志貴も既に五回出し、肉体的な不満は皆無。

むしろ、行為の最中、強請ろうにも強請れない秋葉の滅多に見れない姿を堪能し精神的には満足だった。

「も、申し訳ありません・・・兄さん・・・その・・・わ、私・・・」

「良いって、今夜に関しては皆が満足してくれる方が大事だから」

そう言って優しく頭を撫でてから自身の肉棒を引き抜くと、そのまま隣にいたさつきに覆いかぶさり、秋葉の愛液に塗れたまま、さつきにあてがう。

「し、志貴君・・・」

それを見て身体も声も震わせる。

「怖いか?」

「う、うん・・・」

志貴の問い掛けに正直に頷く。

「そ、それでね志貴君・・・お願いがあるの・・・」

「お願い?俺に出来る事なら何でもするけど」

「志貴君にしか出来ないの・・・あ、あのね、最初の時は・・・手・・・握っていてほしいの・・・」

さつきのささやかなお願いに志貴は

「ああ、そんな事ならお安い御用さ」

二つ返事で返答し、さつきの手を握る。

「あっ・・・」

志貴の温もりを感じて満足したのか身体の強張りも声の震えも目に見えて消え失せていく。

「行くぞ」

今が好機と踏んだのか、志貴は一言断りを入れるや一気に貫きさつきの処女膜を奪う。

「!!」

痛みに表情をしかめるが声は出さない、いや、出せないのか不明だが。

そんなさつきをいたわる様に、志貴はやはり最初は動いて静かにゆったりとした動作だけに留めてそれ以上動く事無く、キスをしたり愛撫したりしてさつきの痛みが和らぐのを待つ。

「はぁ・・・はぁ・・・い、いいよ、志貴君、動いて」

やがて痛みもひいたのかさつきが控えめに口を開く。

「さつき無理するなって、さっきも言ったけど俺は皆が満足してくれる方が大事だし嬉しいんだ」

そう言ってスローペースの動きを速める気配はない。

「ぁ、くくぅん・・・」

そんな志貴の動きによってもたらされる優しい快楽に、さつきも秋葉同様飲み込まれ、最終的には

「ふぁ!ふあああああ!」

自然に絶頂にまで引き上げられていった。

「ぁ・・・ぁぁぁ・・・」

快楽としてはこちらの方が強かったのか、まともな言葉を発する事も出来ず、肩で息をするのが精一杯なようだった。

「最後は・・・レンおいで」

そのまま引き抜き、最後のレンを招きよせる。

「・・・」

頬を恥じらいからなのか、それとも期待からなのかうっすらと朱に染めて、レンは志貴の胸元に飛び込みその勢いのまま押し倒す。

「・・・マスター・・・契約」

「ああ、今日のこれがお前との本契約だ」

そう、志貴は今の今までレンとは血による仮契約しか結んでいなかった。

朱鷺恵とは性教育の名目で様々な行為に及んでいる志貴だったが、『七夫人』やレンには妙に固い貞操観念をもって接したが為の結果だった。

「マスター・・・」

志貴の本契約の言葉に心底嬉しそうに微笑むと、そのあどけない表情とは裏腹にしどどに濡れた秘部を志貴の肉棒に自分からあてがう。

「行くか?」

返事はなく一つ首を縦に振る。

それを見届けて志貴の腰が突き出されるのとレンの腰が沈むのは同時だった。

レンは志貴の肉棒を全て飲み込み、その表情に快楽に染める。

「んっ・・・んっ」

そのまま志貴に負担を掛けまいと健気に腰を振るが、志貴もレンだけに負担を掛けさせる気はなく、リズムを合わせる様に腰を動かす。

その度に

「んっ・・・ふぁ・・・ふにゃ・・・」

愛らしい喘ぎ声を漏らしながらそれでも腰を動かす事を止めないレンに志貴はご褒美とばかりに上半身を起こすとそのまま抱きしめ、その状態から貪る様にその唇を奪い、更に深くつながる。

「んぐ・・・ふぐ・・・マ、マヒュ・・・ター」

レンでもこの快楽には抗えないのか呂律の回らない言葉で志貴を求めて華奢な手を精一杯伸ばして志貴の首に抱き着き、志貴に求められるがままにその可憐なつぼみの様な唇を奪われる。

それと反比例するように下半身の動きはほとんど動きを見せていない。

これは深くつながったままであるがゆえの当然の帰結だが、その実、小刻みなピストン運動を志貴は怠る事無く続けレンに快楽を注ぎ込み続ける。

それは器に絶え間なく注がれる水の様にレンの体内に蓄積され、遂には決壊した。

「ふにゃ!んあああ!ふぁあああ!」

いつもの無口さからは想像も出来ないほどの大きな声で喘ぎ、必死に志貴にしがみつき無意識なのか腰はしっかりと動かす。

「レン、そろそろ出すぞ」

志貴の言葉に何度も何度も首を縦に振る。

「よし・・・じゃあこれで・・・出る!」

語尾に合わせる様に志貴はこれ以上ないほどレンと深く繋がり、子宮に直接精液を注ぎ込んだ。

それと同時に

「!!!!」

声にならない程の快楽に全身を痙攣させ、口の端からは涎を垂らして身体を弛緩させる。

「ふう・・・」

志貴は満足げに微笑むとレンを優しく横たわらせてから自身の肉棒を引き抜いた。

レンのエネルギー源となったのか注がれた志貴の精液は一滴も溢れる事は無い。

それを確認してから志貴は布団の上に横たわる。

その顔には充足感に満ちていた。

美女、美少女揃いの『七夫人』の処女を奪い名実ともに自分のものに出来た・・・からでは当然ない。

自身の満足以上にこれから妻として共に歩んでくれる彼女達を、気持ち良くする事が出来た事への充足だった。

「皆・・・本当にありがとう、そしてこれからもよろしくな。じゃあこれで・・・うひゃあ!」

眼を閉じ妻達への感謝の言葉を口にして今夜の初夜を閉めようとした志貴だったが、それを遮る様に志貴自身の口から素っ頓狂な声を上げる。

突然下半身に電撃が走るような快楽が走る。

思わず腰を上げるとそこに原因と犯人がいた。

「すごい・・・志貴ちゃんのまだこんなに元気・・・あむ」

「んっ・・・志貴ちゃん、気持ち良い?」

左右から翡翠、琥珀が志貴に口での奉仕を行っていた。

「いや、そりゃ当然気持ちいいが・・・無理しなくても良いんだぞ疲れただろ?」

「大丈夫だよ志貴ちゃん。それに私達ばっかり気持ち良くなって志貴ちゃんを少しも気持ち良くしていないから」

「今度は私達が志貴ちゃんの事を気持ち良くしてあげるの」

「俺としては十分に気持ち良かったんだが・・・」

「だーめっ!」

控えめに反論していた志貴の背中にえもしれぬ柔らかいものが押し付けられる。

直前の声から察するに

「アルクェイド・・・」

「志貴にはもっともっと、もーーーーーっと!うんと気持ち良くなってもらうの!」

「そうよ志貴君」

そう言って志貴の傍らに寄り添い耳を甘噛みするのはアルトルージュ。

「志貴君は私達に最高の思い出をくれたわ。あれ位じゃあ私達が納得しないのよ。今度は私達、全員で志貴君にご奉仕して天国を見せてあげる」

そう言って、上半身を起こしていた志貴を再び寝かせる。

そしてアルクェイドは志貴を膝枕しながら身をかかがめてキスをし、アルトルージュ、そしていつの間にか反対側に陣取ったシオンが志貴にぴったりと寄り添い志貴の首筋にキスをしたり、全身を志貴に押し付ける。

「うふふ、志貴君どう?」

「し、志貴・・・どうでしょうか?不慣れなもので・・・不快だったら言って下さい・・・直しますから」

シオンが不安げに問いかけるが不快どころか、極上の心地良さだ。

不満などある筈がない。

そうしていると志貴の両手・・・正確には指に暖かく、柔らかいものが絡みつく。

横目で見てみると右手には秋葉、左手にはさつきが指を一本一本丹念に口に含み舌を這わせる。

更に琥珀達のフェラにレンも加勢したようだ。

下半身を這うような感触がもう一つ増えたからだ。

「どう?志貴?」

アルクェイドが満面の笑みで志貴を見下ろして聞く。

「・・・ああ、冗談抜きで天にも昇るような心地だ・・・なあ皆、もう一度聞くけど皆俺を気持ち良くしてくれるのか?」

志貴は『七夫人』総がかりによる全身の愛撫に眼を閉じて身を委ねながらそんな事を聞いてきた。

『うん!』

志貴の質問に全員が異口同音で答える。

それを聞いて志貴は口元に笑みを浮かべる。

しかし、その笑みの質は先程までとは大きく変貌していた。

菩薩の如き慈悲と慈愛に満ちたそれから、獲物を見つけて舌なめずりする獰猛な野獣のそれに。

「・・・そっか・・・じゃあ、ちょっとみんなに無茶するけど・・・良いか?」

心なしか声すらも何か違うものが混ざっているような気がするが、誰もが志貴への奉仕に夢中で気付く事は無い。

そして・・・後に誰もが口を揃えて言う。

あの言葉が引き金だったと。

志貴が閨にて『七夫人』に絶対的有利を確立させたこれから先の出来事の。

五艶へ